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【会員紹介】小池 佑佳里さん

photo:ミズカイケイコ
photo:ミズカイケイコ

富士見町で生まれ育ち、2025年現在も同町で暮らす小池佑佳里さん。どんなきっかけで森のオフィスを利用するようになったのか、富士見町出身の佑佳里さんから町や森のオフィスはどう見えているのか、話を聞いた。

(取材・文:赤錆 ナナ)

*本記事は「富士見 森のオフィス」の開設10周年を記念して発行された書籍「十草十載」より転載しています。


近くて遠かった森のオフィス


一度も町外に引っ越すことなく、生まれ育った富士見町で暮らし続けてきた佑佳里さん。2022年、転職をきっかけにリモートワークになったものの、森のオフィスを利用することにはためらいがあったという。


「森のオフィスに来ているのは移住した人ばかりで、地元の人はいないと思っていました。だから行っても面白いのかな、話が合わなくて居づらいんじゃないかなって。富士見町以外で暮らしたことがないから、自分はなにも知らないっていう劣等感のようなものもあったかもしれません。」


転機になったのは、2022年11月に富士見町で開催された植林のイベントだった。


「同世代の人がふたりいて、話してみると森のオフィスの会員だったんです。こんな若い人たちが移住してきて森のオフィスを使っているんだ、そもそもこの町に若者がいるんだって驚きました(笑)。」


リモートワークになったことで外出の機会が減り、平日の会話は家族のみという状況に危機感を持ちはじめていた佑佳里さんは、ふたりから「いいところだから一回おいでよ」と誘われたことをきっかけに、イベントの翌月、森のオフィスに足を運んだ。


「来てみたら自由な雰囲気のなか、みんなゆったり仕事をしているように見えました。せかせかと働いたことしかなかったから、こういう感じの場所があるんだなって。」


「気分転換に」と、はじめは月に1回だった利用ペースが、1年が経つころには3日に1回になっていた。


「知り合いが増えてどんどん居心地がよくなり、2024年1月に年間会員に切り替えました。2025年に入ってからは、平日はほぼ毎日利用しています。」


30年以上暮らしてきた町の見方が変わった


「前職では残業が月に何十時間もあり、休日は身体を休めるために家にいるだけ。町のことにはまったく関心がありませんでした。森のオフィスで会う移住してきたみんなの方が、よっぽど富士見町のことを知ってるんです(笑)。自分にとっては生まれてからずっと、普通に買い物して家に帰る場所でしかなかったから、新しいことや面白いことは富士見町の外にあるって思い込んでいました。」


「町になんの興味もなかった」と話す佑佳里さんはいま、商店街に新しくできたお店でランチし、町民スポーツ祭に参加し、四季折々の表情を見せる富士見パノラマリゾートに足を延ばす。すべて森のオフィスで知り合った人たちから誘われたことがきっかけだという。


「これまでだったら絶対に行ってなかったけど、いまは町のイベントやお店、お出かけスポットを楽しめるようになった」と笑う佑佳里さんに、なにが変わったのか尋ねてみた。


「働き方が変わって時間に余裕ができたっていうのもあるんですけど、朱に交われば赤くなるっていうんですかね。私は朝走るのが日課で、いままでは走っているときに景色を見て感動するなんてなかったんですよ。それがいまじゃ『ああ、きれいだな』って写真を撮りたくなってる。よく『この景色がきれいだった!』って話してる森のオフィスのみんなの影響です。そっか、私いいところに住んでるんだなーって(笑)。」


photo:ミズカイケイコ
photo:ミズカイケイコ

2025年からは森のオフィスの庭部の活動にも参加するようになった。


「周りの人が畑をやっていたし、去年の冬は野菜が高かったから、今年は私もやるぞと思って。森のオフィスだけじゃなく家でもはじめました。もともと小池家の畑仕事は父の役割だったけど、これを植えたい! っていうのが私に出てきたから、今年は一緒に作業しています。」


ここまで話して佑佳里さんはふと、「私、移住者みたいな動きをしてるかも」と笑った。畑作業をし、自然のなかを散策し、見慣れたはずの景色をきれいだと感じる。30年以上暮らし「普通」だと思って気に留めずにきた身の回りのことに、小さく感動するようになった。


「森のオフィスに来てなかったら、こうはなっていないと思います。行く店が変わって、遊びに行く場所も変わって、親戚の手伝いで毎年する稲刈りをめっちゃ楽しいと感じるようになって。いまは車を運転しているときも、わあーきれい! って少しスピード落としちゃうくらい。変わりましたね、そう思うと。森のオフィスで出会った人たちの影響で、この土地に当たり前にあることを楽しめるようになったのかも。」



森のオフィスで自主企画を多数開催


富士見町では毎年10月に、富士見駅前商店街が歩行者天国になり、仮装した住民たちで大いに盛り上がる「ふじみ縄文ハロウィン」というお祭りがある。森のオフィスではGREEN COMMUNITY*の活動の一環で、ゴミ分別ステーションを設置している。佑佳里さんは当日の現場ボランティアとして3年連続で活動に参加。森のオフィスのスタッフや佑佳里さんのことをよく知る会員から、「オフィスでイベントごとがあるときは、気づくといつも手伝ってくれている」「その場にいる人をそっと支えてくれ、いてくれると安心する」と頼りにされる存在だ。


2025年からは、森のオフィスで自主企画のイベントの開催やお誘いもするようになった。1月は「フリー書き初め」、3月は「ひなまつり晩ご飯」「ふきのとうを食べよう!」、6月は育てたカボチャの苗や収穫したタケノコのお裾分けの呼びかけ、7月は「冷やし中華、食べませんか?」。それらの原動力はどこからきているのだろう。


「基本的に自分がやって楽しかったことを、みんなと一緒にやりたいだけなんです。書き初めは遊びで毎年2、3枚書いていたので、この楽しさを森のオフィスの人たちにも押し付けたいなと思って(笑)。」


スタッフの快諾を得て軽い気持ちで設置した「フリー書き初めスペース」は、結果、多くの会員が喜んで参加し、オフィスの壁には思い思いの一年の抱負がずらりと張り出された。


「新年がはじまってすぐだったからか、みんな気合を入れて書いてくれて、思った以上に盛り上がりました。普段お世話になっている会員さんから『ゆかりちゃんいい企画だったよ』って声をかけられて、遊びでやったのに感謝されるんだってうれしかったですね。それを成功体験にその後もいろいろやってみるっていう(笑)。」



食事系のイベントは、「家でひとりで作るより、たくさん作ってみんなで食べた方が盛り上がるから」と、その時々に採れた野菜を使って作っている。料理教室に通っていたこともあり、そのきっかけは「人に振る舞えるものを作りたい」と思ったこと。「振る舞うのだって食べてくれる相手がいないとできないけど、ここならたくさん人がいるからやれるぞって。」


仕事、畑、自主企画のイベント、ボランティア、庭部やスイーツ部の活動。「大変じゃないですか?」と聞くと、「家でひとりで仕事をしていたときより、毎日充実しています」と、朗らかな笑顔が返ってきた。



開設10周年を記念して発行された書籍「十草十載」には、他に9名の利用者のインタビューや森のオフィスから生まれたプロジェクトレポートなどが掲載されています。


「十草十載」は森のオフィスでご購入いただけます。

またオンラインショップでも販売していますので、ぜひ、お手に取ってご覧いただけましたら嬉しいです。






 
 
 

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